甘露醤油

管理人@よるタン

2011年08月12日 20:25

甘露醤油とはその名の通り甘い醤油のこと。

鹿児島では醤油といえばこの甘露醤油のことを指し、浜松では普通と思っている甘くない醤油のことを辛口醤油と呼んでいるのを実際聞いた。

鹿児島の地焼酎屋メーカーの社長さんから地醤油屋さんにどうして甘いのか聞いてもらったところ、確証はないが以下の説が有力とのこと。

江戸時代、砂糖の獲れる奄美大島は鹿児島薩摩藩の領地。よって薩摩藩の名産品となる。名産とはいえ当時外貨を稼ぐ希少で高価なものだったのは、一昔前に聞いたガーナのチョコをガーナの子供が口にできないという話と同じ。

しかし体面を重んじる(見栄っ張りとも言う)薩摩武士としては、客人を家に招いてもてなすときに醤油に砂糖を混ぜて甘くして出したとか。(何故醤油なのかは不明) もてなされた側は「あそこの醤油は甘かった」ともてなし度を評価したとか。

それが砂糖が庶民的になって一般でつかう醤油も甘くなったと。


ちなみに鹿児島といえば芋焼酎。鹿児島では火山灰土質のせいで米が作れず、芋が主産業。そして暑い為に日本酒を造ると腐敗してしまう為47都道府県で唯一日本酒生産のない県。

鹿児島県のおじいさんに聞くと、昔は贈り物には月桂冠を送ったが、自分たちは安酒の芋焼酎を飲んだという。ほんの十年も前は芋焼酎といえば「そんな臭い酒飲めるか」という認識は一般的であったのだが、そんな芋焼酎がいまや日本酒より高いことには前述のおじいさんもびっくり。


さて前置きが長くなったが、芋焼酎がはやりだして、この強いフレーバー(鼻から抜ける香りで味として認識される)が、どんな料理に合うのかと疑問をもって鹿児島にいったとき、鹿児島名物料理はほぼ皆味付けがあまかったのを知った。

豚の角煮、ぬた、さつまあげにはやはり甘露醤油。いちばん印象的だったのはきびなごの刺身で、無色透明無味無臭のようなきびなごが芋焼酎に合うわけがないと思ったら、やはり甘露醤油につけることで、その甘露醤油の甘さやフレーバーが芋焼酎と合ったのだった。


ということで、「地酒は地の料理と」というマイポリシーからいうと、芋焼酎を飲むなら、味付けを甘くするか甘露醤油をつけるべし。馬刺しにおいても芋焼酎となら甘露醤油だが、これが麦焼酎や米焼酎ならポン酢をつけたほうがおいしかったりする。

そして以外に芋焼酎にあうつまみが「さつまいも」。 さつまいもを甘く煮て砂糖をまぶしたお菓子を友達に勧めたら完全に馬鹿にされたものの、実際食べ合わせたらあまりに驚いてその後語り草になっているほど。「酒は原料となるマザーウォーターならぬファーザーフードと飲むべし」というマイポリシーを証明するものの一つ。ぜひおためしあれ。

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